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2017/04/25

世界銀行グループプレスリリース「アフリカの経済成長は急激な減速から回復基調に」

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アフリカの経済成長は急激な減速から回復基調に

ワシントン、2017年4月19日―2016年に20数年ぶりの低水準を記録したサブサハラ・アフリカの経済成長率は、2017年には回復基調を取り戻しつつある、と半期に一度アフリカ経済の動向を分析する世界銀行の報告「アフリカの鼓動」の最新版は指摘する。

同地域は回復の兆しを示しており、2017年の成長率は2.6%に達する見込みである。ただし、こうした成長率も人口増加率をわずかに上回るにとどまると見られ、雇用創出や貧困削減への対応が追いつかないため、回復力は依然として弱い。

ナイジェリア、南アフリカ、アンゴラといった域内の経済大国は、2016年の大幅な減速から立ち直りつつあるが、一次産品価格の低迷に対する調整不足や不確実な政策が足かせとなり、回復のペースは遅い。さらに、中部アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)に加盟するいくつかの石油輸出国は財政難に直面している。

最新データによると、コートジボワール、エチオピア、ケニア、マリ、ルワンダ、セネガル、タンザニアの7カ国は内需に支えられて景気回復を続け、2015~17年は年率5.4%を超える伸びになると見込まれる。これらの国は、域内人口の約27%、域内GDP全体の13%を占めている。

また、回復が続くグローバル経済が、アフリカ地域の回復を後押ししている。同地域全体の成長率は、域内経済大国の回復を反映し、2018年に3.2%、2019年には3.5%まで伸びると同報告は予測する。金属輸出国には緩やかな伸びが期待されるが、石油輸出国では景気低迷が続くと見られる。採掘資源への依存度が低い国のGDPは、インフラ投資、堅調なサービス・セクター、農業生産高の回復に支えられ、力強い伸びが続くだろう。この傾向は、エチオピア、セネガル、タンザニアにおいて特に著しい。

予想以上に急速な世界的な金融の引き締め、一次産品価格の伸び悩み、保護主義的な動きの台頭はいずれも、上記の見通しを押し下げる外的リスクとなっている。一方、国内では、現在の回復基調を脅かすリスクとして、改革の遅れ、安全保障上の脅威拡大、選挙を控えたいくつかの国の政情不安などが挙げられる。

「各国が財政調整に向かう中、我々は、サブサハラ・アフリカ諸国がより力強い回復を遂げられるよう、適切な投資環境を保護する必要がある。アフリカには、労働生産性拡大と、安定したマクロ経済環境の整備に向けた改革が求められている。生産性の高い、良質な仕事の創出は、同地域の貧困削減に貢献するだろう。」と、アルバート・ズーファック世界銀行アフリカ地域総局チーフ・エコノミストは指摘する。

経済成長の回復が小幅にとどまるアフリカ地域でも、投資促進と貧困削減を進めるための改革は喫緊の課題である。各国は、債務が持続不可能な水準まで膨らまないよう配慮しつつ、切望されている開発資金を確保する必要に迫られている。

こうした状況下で、特にインフラをはじめとする官民投資の拡大が優先課題となっている。同地域の投資の伸び率は、2014年の約8%から、2015年は0.6%にまで落ち込んだ。同報告は最新版に特集を設け、セクター別に域内のインフラの状況を分析している。それによると、通信インフラは量と質の両面で飛躍的な改善が見られるが、電力インフラでは発電能力と電力アクセスがなおも立ち遅れていることが分かる。

「貧困率が依然として高い中、成長のモメンタムを取り戻すことが急務だ。同地域は、包摂的な成長が求められるだけでなく、投資の減速に歯止めをかけ、競争力拡大を阻む高い貿易・物流コストの引き下げに取り組まなければならない。」と、同報告を執筆したプナム・チュハン・ポール世界銀行アフリカ地域総局リード・エコノミストは述べる。

今回、同報告は特に、民間セクターの成長、現地資本市場及びインフラの整備、国内資金動員(DRM)の能力強化に向けた組織・制度改革の実施を呼びかけている。

 

全文は以下リンクよりご覧ください。

http://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2017/04/19/economic-growth-in-africa-is-on-the-upswing-following-a-sharp-slowdown