JICA

2014/06/18

JICAニュース:アフリカ開発会議から1年、OSBPを通じた支援を報告

キーワード:アフリカの民間セクター整備, アフリカのインフラ整備, JICA

5月4~5日、カメルーンで開催された「TICAD V第1回閣僚会合」には、約800人の関係者が集まり、TICAD Vの熱気と合意をどのように具体的な行動に移していくか、再び熱い議論を交わした。57の国・機関から、617に上る取り組みが提案され、2017年の目標年に向けて着実に実施していくことで合意した 。

JICAは、道路や港湾などのハードインフラの支援とともに、インフラの効率的な運用に関するソフト面の支援も行っている。その代表例がワンストップ・ボーダーポスト(One Stop Border Post: OSBP)だ。閣僚会合の前日、JICAは、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)、アフリカ・インフラ・コンソーシアム(ICA)、アフリカ開発銀行(AfDB)との共催で、OSBPへの取り組みを紹介するイベントを開催し、ベナンのナシル・バコ・アリファリ外務大臣など4人の閣僚を含む250人の参加者が集まった。JICAは、加藤宏理事がモデレーターを務めるとともに、AfDB、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)に派遣中のJICA専門家3人が、OSBPの取り組みについて説明を行った。

アフリカは多くの国に分かれているが、トラックや貨物列車が国境を越えるたびに、出入国審査、税関、検疫などの手続きを、出国側と入国側で2回行う(Two Stop)ことが一般的だった。それぞれの国の職員が、異なる書式・基準に基づいてそれぞれの職場で手続きを行うため、国境を越えるのに2~3日要することも多く、非効率的だった。いくらお金をかけて国と国をつなぐ道路をきれいに舗装しても、途中で2~3日も足止めされては、クロスボーダー・インフラ整備の効果は十分に発揮できなくなってしまう。

OSBPは、これらの手続きを共通の書式・基準・手続きに集約し、IT化の助けも借りて1ヵ所で行い、国境通過手続きの抜本的な合理化・迅速化を図ろうとするものだ。実施に際しては、施設建設、法整備、職員研修など、広い範囲で見直しや改善の積み重ねが必要であり、地道だが複雑で解決すべき課題が山積している。しかし、既にOSBPが設けられたケニア-ウガンダ国境を例にとると、平均で2~3日かかっていたトラックの国境通過手続きが、わずか2~3時間に短縮され、年間7,000万ドルもの輸送コストの削減効果が報告されている。さらに、輸送や貿易の増加も加えれば、OSBPの経済的なインパクトはとてつもなく大きい。JICAの取り組みに対するイベント参加者の関心は非常に高く、期待の高さをひしひしと感じるものとなった。

JICAは、OSBPをはじめとする、現場重視の取り組みを通じ、インフラ整備、人材育成、民間連携、農業、教育、保健、環境、防災、平和構築、復興支援など、アフリカ開発のあらゆる局面で、現場のニーズに応え真にアフリカの利益になる支援を目指して、1993年の第1回からこれまでTICADでの約束を着実に形あるものにしてきた。そのことが、TICAD Vの成功と、アフリカでの日本への信頼と期待につながっている。

 

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