JICA

2014/07/11

JICAニュース:「市場志向型農業」をアフリカ全土へ(後編)

キーワード:稼ぐための農林水産業への協力・支援, ウガンダ共和国, エジプト・アラブ共和国, エチオピア連邦民主共和国, ガーナ共和国, カメルーン共和国, ケニア共和国, ザンビア共和国, ジンバブエ共和国, スーダン共和国, セネガル共和国, タンザニア連合共和国, ナミビア共和国, マダガスカル共和国, マラウイ共和国, 南アフリカ共和国, モザンビーク共和国, ルワンダ共和国, レソト王国, JICA

JICAは日本とケニアの技術協力から生まれた「SHEPアプローチ」をアフリカで広域展開し、小規模農家の所得向上による貧困削減を目指している。この第一歩として「アフリカ地域市場志向型農業振興(行政官)」研修が、5月11~30日、日本とケニアで実施された。

(中略)

首都ナイロビでは、SHEPアプローチのケニア国内普及を担う「小規模園芸農民組織強化・振興ユニットプロジェクト」(SHEP-UP)のケニア人カウンターパートが研修員の指南役を務めた。

仲買人などの市場情報を持つ人々と交流することで、農家に市場の動向を知ろうとする意識改革のきっかけを提供する「お見合いフォーラム」など、ケニアでのSHEPアプローチを構成する活動は多々ある。ケニア人カウンターパートは、研修員のためにそれらのノウハウを一つ一つひもといてみせた。

(中略)

一行はまた、実際にSHEPアプローチを実践している地域に足を運び、野菜を中心に栽培している農家グループや、欧州向けに切り花を生産している農家グループなどを訪問した。ここで研修員は自分たちが研修中に学んだ問題分析方法や作物カレンダーなどのツールが実際に使われているところを目の当たりにした。

「家を新築した」「オートバイを買った」など、SHEPアプローチの実践による生活向上のインパクトだけではなく、「花の栽培を始めるに当たり、球根の初期投資額が大きかったため、メンバーたちの間で議論が分かれた」という立ち上げ当初の苦労話から、「欧州市場が低迷してため、新規の販売先を探す市場調査をする予定だ」という課題まで聞くことができた。女性も多く、彼女たちが自信を持ってこれまでの道のりを語る姿が印象的だった。

(中略)

「アフリカ地域市場志向型農業振興(行政官)」研修は、11月に第二弾の実施が決定している。次回はエジプト、ガーナ、カメルーン、ザンビア、スーダン、セネガル、タンザニア、マラウイ、モザンビークの9ヵ国が参加予定だ。今回と合わせると参加国は18ヵ国に上る。また、ケニアからも今回と同様にSHEP-UPカウンターパートが研修員として参加し、日本とアフリカの経験をつなぐパイプ役となる。

SHEPで3年間チーフアドバイザーを務めた経験を持ち、この研修のコースリーダーを務める相川次郎JICA国際協力専門員は、「この研修は、修了後に各国で何らかのアクションを起こすことを目的に設計している。援助に頼るのではなく、各国が自国の事情に合わせた農家支援を展開していく。だから、この研修は終了したのではなく、実はこれがスタートなのです」と力強く語った。

アフリカ各国で「ビジネスとしての農業」が根付くことが期待されている。

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