JICA

2014/03/25

JICAニュース:ケニア支援の金字塔、SMASEの新たなる船出-アフリカ理数科教育の拠点が完成-

キーワード:アフリカビジネスをサポートする人材育成, ケニア共和国, JICA

「アフリカ理数科・技術教育センター(CEMASTEA)」の拡張工事が終了し、3月6日、落成式が行われた。式典にはケニヤッタ大統領をはじめ、ケニア、日本双方の関係者など約300人が集まった。ナイロビのカレン地区にあるCEMASTEAは、アフリカの理数科教員の育成拠点として、現職教員の研修を担っている。これまでの92人から収容人数200人規模の研修施設となった。

CEMASTEAは今後、理数科だけでなく、全教科を対象とした「アフリカ教員研修センター(ICADETA)」として生まれ変わることが決定している。CEMASTEA を拠点としてきたJICAの「理数科教育強化プロジェクト(SMASE)」の活動は、アフリカの全教員に開かれることになる。

SMASE)は1998年、JICAがアフリカで初めて行った基礎教育支援プロジェクト。工業化を目指す当時のケニアでは、特に理数科教育の改善が喫緊の課題だった。その課題解決のために、ケニア教育省に日本人専門家を派遣し、中等学校の教員に研修機会を提供する「現職教員研修システム」の構築と、現地で調達可能な実験器具を使いながら、生徒の主体的参加を引き出す授業方法の実践を、まず9県の中等学校の教員を対象に開始。ケニアの実情に合わせて工夫した結果、学校の運営資金が不足する地方でも、教員の教え方が変わって教室に変化が生じ、生徒の理数科に対する興味や理解が向上した。

その後、取り組みは全国の中等学校教員を対象とした研修に拡大。2008年の第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)の横浜宣言を受けて、全国の初等学校にも展開することとなった。15年間で、中等学校の理数科教員7万人と校長1万1,500人、初等学校の教員18万人と校長・副校長7,000人が研修に参加。その他、多くの教員研修講師や視学官をはじめとする教育行政官を養成した。

SMASEの活動はケニアだけにとどまらない。同様の問題を抱えるアフリカ諸国に普及することを目的として、JICAは2001年、「アフリカ理数科教育域内連携ネットワーク(SMASE-WECSA)」を立ち上げた。現在、アフリカ14ヵ国でケニアの経験を生かした理数科教育の技術協力が実施、または計画されている。

アフリカ各国が科学技術の発展を目指す中、理数科教育支援へのニーズは急速に高まっている。SMASE-WECSA を展開中の27ヵ国は、それぞれの実情に合わせた取り組みを行っており、新たな知見が生み出されている。JICAはさらなる役割が期待されているCEMASTEAをパートナーとして、引き続きアフリカの理数科教育振興に貢献していく。

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