JICA
2014/07/02
JICAニュース:「市場志向型農業」をアフリカ全土へ(前編)
キーワード:稼ぐための農林水産業への協力・支援, ウガンダ共和国, エチオピア連邦民主共和国, ケニア共和国, ジンバブエ共和国, ナミビア共和国, マダガスカル共和国, 南アフリカ共和国, ルワンダ共和国, レソト王国, JICA
JICAは現在、アフリカ地域の小規模農家の収入向上を目指して、日本とケニアの技術協力によって生まれたSHEPアプローチをアフリカ全体に広げる取り組みを行っている。2013年6月に開催された「第5回アフリカ開発会議(TICAD V)」で、日本はアフリカ農業支援の柱の一つとして「SHEPアプローチ」のアフリカ域内展開を掲げ、小規模農家の所得向上、貧困削減への貢献を目指している。
(中略)
SHEPアプローチとは、2006 年から2009年にJICA がケニアで行った技術協力プロジェクト「小規模園芸農民組織強化計画」(SHEP)で生まれた取り組み。「作ってから売り先を探す」という発想から「売り先を考えてから作る」という発想へ転換を図ることで、所得の向上を目指し、わずか2年間で2,500もの農家の収入を倍増させた。農家が農家自身で市場調査を行い、売れ筋の作物、時期による価格変動などを知ることで、複数の販売先と取引する競争力を得る。また、農民組織の強化によって、共同で販売、購入、契約するメリットを享受するといった取り組みだ。さらに、家庭を一つの「経営ユニット」としてとらえ、男性は経営者、女性は労働者という従来の意識に風穴を開け、女性の経営参画を加速したこともプロジェクト成功の要因となった。
ケニアで始まったSHEPアプローチだが、日本の農業振興や消費者志向のものづくりが根底にある。日本の農家が普通に実践している「ビジネスとしての農業」を伝えるため、国内でも早くから農産物のブランド化や消費者目線の作物づくりに取り組んできた兵庫県神戸市で、「アフリカ地域市場志向型農業振興(行政官)」研修を実施した。
5月11日に来日したのはウガンダ、エチオピア、ケニア、ジンバブエ、ナミビア、マダガスカル、南アフリカ共和国、ルワンダ、レソトの9ヵ国の、農業省など農業政策に携わる行政官18人。24日までの約2週間、農産物の流通システムや農家の市場活用などの事例を学んだ。
(中略)
日本の「ビジネスとしての農業」の根底には、農家が他者とつながりながら、自ら考え、行動し、切磋琢磨(せっさたくま)するプロセスがあった。SHEPアプローチにはまさにこのプロセスが息づいている。こうした気づきを得て、研修員は5月25日、研修の次なる目的地ケニアに向かった。そこで待つのは日本とケニアのノウハウの融合だ。
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